市民対談5

栗田 沙織 × 水口かずえ

 

地域を活性化

空き家対策に取り組み、

企業や就労を支援する。



栗田 沙織 さん

鈴木町、「わたしたちのまちのつくり方」メンバー、イラストレーター


社会のために

何かをやりたい、自分の力を活かしたい

 

水口 栗田さんは起業に興味があるとうかがいました。

栗田 はい。自分の力を社会に活かせる何かしらの形で実現したいと思っています。せっかくだったら地元でできたら、面白いなと思っているのですが。それには、小平のニーズを把握することが必要です。知りたいのは、たとえば、小平は数年後どういう方向に向かおうとしているのでしょうか? 子育て家族世帯を増やそうとしているのか、高齢化社会を視野にお年寄りのケアに力を入れたいのか、緑に囲まれた環境を特色に市外から遊びに来てもらうのか、都心に通勤して休日はゆったり過ごすベッドタウン的な役割なのか。未来の小平をどんな風に持っていくイメージを描いているのか。小平でやるなら小平の希望とマッチしたものを提供したいと思います。

 もちろん基本的には起業する側がリサーチするのですが、逆にまちづくりに関わっている立場から考えると、自治体をはじめ地域側から積極的にまちをつくる為に呼び込むことも大切だと思うんですよ。声をあげないと気づかれないし実現しない。

それには、もう少し戦略的に具体的に目指す未来をイメージしやすくしてもいいのかな。その方が市民の意識も高まるし、外へのアピールにもなるし、共感するモノが集まってくると思います。

 調べたところ、小平では民間やNPO法人で、起業を支援してくれるところがありますが、最初は社会の為に何をやろうか何ができるかということです。起業ほどの大きなことでなくても、何か思いついた時に、みんなが地域の情報にアクセスしやすいといいですね。それをきっかけにアイデアや人の輪が広がることも多いと思うので。

 

企画段階から若者がかかわる

講座を実現したい

 

栗田 市民講座などの参加者が少ないのも、広報の問題が大きいのではないでしょうか?

水口 情報発信力が弱いということでしょうか。

栗田 デザインもそうですし、情報を掲示する場所も。企画内容はとても楽しく充実していることが多いのに、参加者が数人~十数人しかいない。うまく広報すればもっと人が集まるのに。労力も税金もかけて良い企画を実地しているのに、市にとっても市民にとってももったいなく感じます。

水口 公民館の特に若者向けの講座は、参加者が思うように集まらなくて苦労していると聞きます。先日も就業関連の講座で、「大学にチラシを置いてもらったりしているけれども、参加が少なくて」と担当の方が言われていました。そのとき、講座の企画段階から若者がかかわる仕組みがあればいいのにって思いました。若者が企画すれば、若者に関心のあるテーマが選ばれるし、発信の仕方も違ってくるでしょう。

栗田 それ、いいですね。市報をはじめ、いろいろな広報を、もっと広く、若い世代にも見てもらえるようなものにすることが必要と思います。そこで例えば小平市と武蔵美の学生をマッチングして市報やポスターをつくってもらうのはどうでしょう。

水口 おもしろいかも。

 

空き家空き部屋1万件の

活用策を考えよう

 

栗田 空き家が多いそうですが、それも情報があれば、利用がいろいろ考えられます。

水口 今、小平で空き家は1000軒、アパートなどの空き室も加えると1万件にもなりますし、まちでは空き店舗も目立ちます。地域にも、持ち主にも役に立つ活用策が求められているんです。

 空き店舗でチャレンジショップができたりするといいと思うのですが、ただ、家賃が安くはない物件が多いと聞きます。ハンドメイドのクラフトを販売しながら地域の居場所にしようとチャレンジショップを始められた方がいらっしゃいますけれど、お話うかがっても、お店を開いて維持するのはほんとうにたいへんだと思いました。

栗田 チャレンジショップといっても、継続的にお店を経営するというのは、いきなりチャレンジするのにハードルが高いと思います。多くの人はそこで踏みとどまってしまうかなと思います。けれど、やってみたい人はたくさんいるはずです。「週に数日だったら」という子育て中の女性や、「1日に数時間なら」という学業と両立したい学生も小平には多いと思うんですよ。そこで、例えば市が空き家を借り上げて、チャレンジスペースとして、曜日ごとに貸し出す、短時間でも貸し出すといった方法はできないでしょうか。期間限定で、お菓子や雑貨など自分のやりたい店を試してみるとか。

水口 文字通り「チャレンジ」の場ということですね。

栗田 あるいは空き家を適した環境にリノベーションして、そこで、交代制で保育ママが入る保育の場にするとか。市民が集う場にするというのも楽しそうです。

水口 そうした事業を市が応援するために、できることはありそうですね。

 

職住近接の働き方もいい

まずは市からの情報提供が大切

 

栗田 今、若い人たちの働き方も変わってきています。新卒で就職をしても、2,3年で転職をしたいなという人も多い。みんな生きがいや働きがいを求めているんです。小平で働きがいがある仕事が発見できれば、長い通勤時間で都心に出るよりも地元で働いてみようって思えるんじゃないでしょうか。職住近接の新しい働き方の提案も考えられると思います。

水口 そうですね、まずは空き家の実態、市内の求人状況などの情報提供が大切ですね。大学生や若い人たちともいっしょに考えていきたいと思います。

栗田 ええ、ぜひ。私は大学時代は市外から小平に通学していたんですが、1年半ほど前に小平に引っ越してきました。最初は、小平ってスタバもないのか、画材などの買い物もちょっと不便、とか思っていたんですね(笑)。でも、住んでみたら、小平って案外、いいところだなって思えてきました。新宿までも乗り換えなしで出られるし、日当たりはいいし。

水口 小平には高い建物があまりないですから。

栗田 そう。それで平らで、自転車でどこまでも行ける。

水口 そうそう、私、立川くらいまでなら自転車で行きますよ。

栗田 自転車で暮らせる、歩いて暮らせるってすてきなことだと思いますし、もっと住みよいまちになってほしいと思ってます。

水口 ぜひいっしょにまちづくり、しましょう。