質問件名 DV被害者の情報漏えいの防止策は万全か
質問要旨
内閣府の発表では、全国の配偶者暴力相談支援センターに今年4月に寄せられた相談件数は1万3272件と、前年同月より約3割増えており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や休業などで生活不安やストレスが強まったことなどが増加の要因と思われるとのことです。
2004年に、省令改正で「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置」が始まり、DV等被害者は、市区町村に対して住民基本台帳事務におけるDV等支援措置を申し出、「DV等支援対象者」と認められれば、加害者からの住民票や戸籍の附票の写しの交付等を制限できるようになりました。しかし、この措置が十分に機能せず、DV被害者の情報が加害者に伝わってしまう事例が2011年以降全国で63件に上る、と11月6日付けの読売新聞が報道しています。小平市では、同様の事例を防げるのか、以下質問致します。
1.今年1月以降、女性相談室で受けた相談件数と、子育て、児童虐待、DV等、内容別の内訳を月ごとにお教えください。
○小林市長
次に、「DV被害者の情報漏えいの防止策は万全か」のご質問にお答えいたします。
第1点目の今年1月以降、女性相談室で受けた相談件数でございますが、1月が85件、2月が96件、3月が102件、4月が83件、5月が103件、6月が115件、7月が103件、8月が91件、9月が109件、先月が111件でございます。内訳につきましては、DV相談は1月が17件、2月が9件、3月が22件、4月が14件、5月が21件、6月が26件、7月が22件、8月が24件、9月が17件、先月が15件でございます。子育て相談や、児童虐待相談については把握しておりません。
○水口かずえ
女性相談の件数です。昨年度と比べて、相談件数及びDVに関する相談件数は増えているのでしょうか 。お教えください。
○余語聡地域振興部長
相談件数でございますが、令和2年の1月から10月までで相談件数は959件、令和元年度が1月から10月で893件ということで、増加しております。また、DV相談の件数でございますが、令和2年1月から10月で185件、令和元年度1月から10月で137件、こちらも48件の増加となっております 。
○水口かずえ
やはり、それは新型コロナウイルス感染症拡大の影響と考えられるということでよいでしょうか。
○余語地域振興部長
ちょっと細かい内容までは発生しておりませんが、相談の内容からして、そういった新型コロナウイルス感染症の影響ではないとは言い切れないと考えております 。
2.本年10月末現在の小平市におけるDV等支援措置の対象人数をお教えください。
○小林市長
第2点目のDV等支援措置の対象人数でございますが、先月末現在で、595人でございます。
○水口かずえ
DV等支援措置の対象の人数が10月末現在で595人ということでした。これも今年に入って例年より増えているという理解でよろしいでしょうか 。
○柳瀬正明市民部長
支援措置の対象者の人数でございますけれども、平成30年3月末、平成31年3月末、それから令和2年3月末という一年ごとの人数の推移でみますと、やはり増加の傾向にはございます。
○水口かずえ
DV等支援措置の広報についてです。今年11月11日にしんぐるまざあず・ふぉーらむなどが発表した調査によると、離婚前で別居しているひとり親世帯のアンケート調査で児童手当を本来育てているほうが受け取れるはずなのに、別居した元の夫のほうが受け取っているというケースが22%あったそうです。児童手当を受け取るには別居相手とは別の住民票を別世帯にする必要があるんだけれども、DV被害者としては、夫のほうに住所が知られることがこわくて、住民票を別にすることができないという答えが多かったそうです。DV等支援措置がきちんと機能しているということを伝えることができれば、そういう方々も手続きをとって児童手当を受けることができると思います。DV等支援措置についての広報はどのようにされているでしょうか。
○伊藤祐子子ども家庭部長
そういった広報をしなくても、児童手当につきましては、申請があったときに個々の状況をきちんと相談に応じて手当が適切に支給できるように対応しております。
3.2004年以降これまでに、小平市においてDV等支援措置の対象者の住所を加害者に伝えてしまった事例はありましたか。
○小林市長
第3点目のDV等支援措置対象者の住所を加害者に伝えた事例でございますが、これまで市では、該当する事例はございません。
4.今年6月、三鷹市は、DV被害者の女性が含まれる戸籍付票の写しを加害者から請求されて郵送したと発表しました。女性はDV等支援措置の対象で、支援措置対象者の戸籍付票は、住民基本台帳システムの端末で、検索する時と印刷する時に警告が出るが、職員の認識不足で付票を印刷し、加害者に郵送したそうです。警告が出た場合は支援担当者に連絡する決まりもあったが、それもしなかったとのことで、三鷹市は、警告が出た場合は全件を支援担当者に伝えることを徹底し、対応方法の明文化や職員への講習導入を進めるとのことです。小平市では対応方法の明文化や、職員への講習は行われているでしょうか。
○小林市長
第4点目のDV等支援措置対象者の戸籍附票の写しの請求への対応方法の明文化でございますが、戸籍附票の写しの請求につきましては、市のシステムでは、DV等支援措置対象者の発行処理が抑止されるとともに警告が表示され、支援措置担当者が可否を判断した上で、抑止の解除をして発行しております。これらの申請受付から交付までの手続きにつきましては、マニュアルを作成するとともに、支援措置の制度やシステムの操作に関する研修を随時行い、支援措置対象者の住所等の個人情報を厳格に取り扱っております。
また、年に一回、住民情報システム関係課の調整会議を開催し、業務システムを使用している課の職員に対し、支援措置対象者の情報漏えいが全国の自治体で起こっていることから、情報の取扱いについて注意喚起を促すとともに、各部署での取組について情報交換をするなど、意識啓発に努めております。
○水口かずえ
支援措置の担当者という方がいて、DV等支援措置対象者のことについては責任を持っているということだと思います。支援措置の担当者は何名いて、責任者は誰になるのでしょうか。
○柳瀬市民部長
支援措置の担当者は担当の係長を含めて6名でございます。総括的な立場にいるのは課長でございます。
○水口かずえ
支援措置の担当者が実際に支援措置について対応しなければならなくなるケースというのは、年に何回ぐらいあるんでしょうか。今年4月以降でよければ何件ぐらいあったかお教えください。
○柳瀬市民部長
今のおたずねは、支援措置支援措置にのっとった対応として、証明等の発行をした件数ということでよろしいでしょうか。4月以降の件数といたしましては、月ごとの件数で申し上げます。4月が15件。これは証明等の交付件数でございます。5月が20件、6月が28件、7月が30件、8月が24件、9月が25件、10月が33件、合計で175件でございます。
○水口かずえ
支援措置対象の住民票等の発行に関しては、ご本人からの申請というのが多いと思うんですけれども、本人以外からの申請というのもあったのでしょうか。
○柳瀬市民部長
本人に係るものが大半、7割超えでございますけれども、そのほかには、第三者からからの請求がございます。第三者というのは、弁護士でございますとか、あるいは債権者等でございます。そのほかに公用請求というものがございまして、国税のほうからの照会ですとか、警察の捜査事項の照会がございます。
○水口かずえ
弁護士等からの申請に対して、市としてはどのように対応しているでしょうか。
○柳瀬市民部長
弁護士からの請求に対しましては、まずその弁護士の資格証を確認することがございます。それから、請求の利用目的、それから、依頼人等の確認を行いまして、その請求を行っている弁護士と加害者の関係、つながりがないということを確認の上、発行しております。
○水口かずえ
加害者の依頼以外の場合にも慎重な対応をお願いします。市民課の窓口は業務委託になっているかと思います。住民基本台帳システムに触ることができる職員というのは、委託業者も含め、何名ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
○柳瀬市民部長
住民情報システムを操作できる職員につきましては、まず市民課の職員が26人おります。これは正規職員でございます。それから、市民課の再任用職員が1人、会計年度任用職員が、これは専門職でございますけれども、1人でございます。
○水口かずえ
DV等支援措置対象について、研修が行われているということでしたが、再任用とか委託業者も含め、研修はきちんと行われているのでしょうか。
○柳瀬市民部長
支援措置を直接担当する職員はもちろん行っております。そのほかの職員につきましても、支援措置のことにつきましても含め、研修は行っております。
○水口かずえ
市民課以外の他の課も含め、年に一回調整会議をしているというお話でした。調整会議に参加しているのは何課ぐらいあるのでしょうか。
○余語地域振興部長
調整会議への参加課ですが、平成30年度は12課、令和元年度は2回開催しておりまして、2回とも11課となっております。
5.大阪府堺市では、例えば、請求が認められている弁護士が代理人としてDV等支援措置対象者の住民票等を請求した場合、弁護士の了解を得て、誰からの依頼かを確認し、加害者以外の第三者からの依頼の場合も、加害者の関係者ではないかを被害者に確認する、また、加害者と被害者が連帯債務者となっている金融機関からの請求の場合は、債権回収の過程で、被害者の住所が加害者に伝わってしまう危険があるため不交付とし、必要な場合は住所秘匿が可能な裁判の手続を取ってもらう、などの措置を含むマニュアルを2018年に策定したそうです。小平市にはこのようなマニュアルはありますか。
○小林市長
第5点目のDV等支援措置対象者の住民票等の写しの第三者からの請求への対応にかかるマニュアルでございますが、受付から支援措置決定後の証明書の発行までの事務処理や、第三者からの請求への対応などのマニュアルを作成し、これに基づき厳格な審査を行い、事務の適正な執行に努めております。
6.今年9月、新潟市東区が、夫と別居中で、DV等支援措置対象の女性の住所が記された書類を夫に送ったと報道されました。女性は夫と同居時に自宅のトイレのし尿処理を区に依頼し、別居後も支払いは女性の名義で、夫が区に明細書を請求した際、担当者が支援措置の対象と知らずに転居先が記された明細書を送ったそうです。この件では、住民基本台帳のシステム上では、DV等支援措置の制限がかけられても、それ以外に、役所へ納める金銭が発生する国民健康保険や税金、上下水道、児童手当などの独立した個別システムは、氏名や住所などの基本データは住民基本台帳のシステムから送られるが、DV等支援措置の情報は送られないため、個別システムの業務上は、請求対象者がDV被害者かどうかがわからないことが問題となりました。小平市では、国民健康保険や上下水道などの個別システムにも、DV等支援措置の情報が共有されているでしょうか。
○小林市長
第6点目の個別システムとのDV等支援措置の情報共有でございますが、庁内には共有されていない個別システムがありますが、DV等支援措置の情報を共有する必要性がなく、適正な情報の取扱いを行っております。
○水口かずえ
新潟市の場合、住民基本台帳の基本情報が共有されている個別システムが22個あったけれども、そのうち DV等支援措置の共有されているシステムが2個だけだったということだそうです。小平市には、住民基本台帳の基本情報が共有されている個別システムはいくつあるのでしょうか。
○余語地域振興部長
個別システムの数については、今はちょっと数値のほうを持ち合わせておりません。
○水口かずえ
新潟市などの事例では、基本台帳の情報が共有されているシステムにおいて、DV(等)支援(措置)の情報が共有されていなかったということが、ミスの原因になっていると思います。小平市でも住民基本台帳の基本情報が共有されているけれども、DV等支援措置の情報が共有されていないというシステムはあるのでしょうか。
○余語地域振興部長
詳細につきましては、答弁のほうを差し控えさせていただきます。
○水口かずえ
総務省が2014年に自治体でミス、漏洩のミスをする原因として、基本台帳の情報が他部局とDV等支援措置の情報が十分に共有されていないことが、税とか児童手当とかの情報を送る際に加害者に送ってしまうというミスの原因になっているということを指摘しています。今後小平市でそういうミスを犯さないために、住民基本台帳の基本情報を共有している個別のシステムのほうにも、DV等支援措置の対象者の情報がきちんと共有されるようになにか手立ては取っていただけるでしょうか。
○余語地域振興部長
システムということではございませんが、他自治体では確かにDV被害情報の漏洩等起こっておりますので、先程申し上げました住民情報システム関係課調整会などで、そういったことが起きないように周知してまいります。
7.今年9月、目黒区在住のDV加害者の確定申告書類に、目黒区から他の自治体に転出して目黒区の住民基本台帳には登録がない被害者女性と子どもが被扶養者として記載されており、目黒区の税務担当者が、被害者女性の転居先住所を記載した確認書類をDV加害者に送付した、と報道されました。被害者女性は、転出先の自治体で、DV等支援措置の対象でしたが、目黒区にはその情報が伝わっていませんでした。この事例を知った新潟市は、納税義務者に渡す書類で、市の住民基本台帳に登録がない被扶養者の住所の確認が取れた場合も、その住所をDV被害者であるかどうかにかかわらず非表示とするようシステムを改修すると聞きました。小平市では、このような事例にどう対応しているでしょうか。
○小林市長
第7点目のDV被害者の転居先住所を記載した文書を納税義務者である加害者に送付した事例についてでございますが、市では、被扶養者に関する調査を行う場合、確認のため送付する文書には、確認の対象となる方の氏名のみを記載し、住所は記載していないことから、同様の事例が発生することはございません。以上でございます。
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