(3) 集会施設などの利用者負担の見直しについて、市民との話し合いがもっと必要ではないか

 

質問趣旨

 市は、昨年9月から11月にかけて、「集会施設などの利用者負担の見直し」についてのアンケートと市民意見交換会を実施しました。市民意見交換会の開催を知らせるチラシには、「施設を利用する方と利用しない方との負担の公平性を確保するため、使用料の負担を見直します。見直しにあたり、使用料の減額方法等について、市民の皆さんと意見交換を行います」と記載され、市民意見交換会資料には、「施設を利用する方と利用しない方との負担の公平性の観点から施設の利用は原則有料とする原点に立ち、ほぼ全て免除となっている現行の免除規定を見直します」と書かれており、使用料の見直しは既に決まったことと受け取られる内容でした。このような有料化を前提とした市民意見交換会では、そもそも有料化すべきかどうかから議論すべき、なぜ今有料化しなくてはいけないのか、周知が不十分といった意見が多く出されていました。

 

1.平成22(2010)年12月議会で、「公民館など公共施設使用料の減免内容見直しについて」、「直接市民への負担増につながる場合には事前に市民と十分話し合うようにしてください」という請願が採択されました。昨年12月議会では、上記の市民意見交換会が、この請願に基づくものとのご答弁でしたが、昨年の市民意見交換会は、使用料の見直しを前提とし、その減額方法について話し合うもので、市民への負担増につながる場合の事前の十分な話し合いとはいえないものだったのではないでしょうか。

 

市長(小林正則)

 終わりに、集会施設などの利用者負担の見直しについて、市民との話し合いがもっと必要ではないか、のご質問にお答えします。

 第1点目の、市民への負担増につながる場合の事前の十分な話し合いでございますが、無作為抽出で実施した小平市政に関する世論調査において、7割近い方が利用する人が経費を負担すべきと回答しております。また、平成22年3月には、公募市民も入りました受益者負担の適正化検討委員会から報告書が出され、その中で集会施設等の免除内容の見直しや免除・減額を行う場合の提言が出されております。

 このようなことから、市として、現在の利用者負担のあり方については、見直す必要があると考え、今回の意見交換会では見直しにあたっての背景などを理解していただくとともに、市民活動がこれまでと同様に継続できるよう、使用料の減免方法や激変緩和措置のほか、利用する方の利便性等の方法について、市民のみなさんから意見をうかがう場を設けたものでございます。

 また、各公民館の定期利用団体が集まる場をお借りし、説明会を行うとともに、市ホームページや集会施設等の窓口で広く意見を募集いたしました。

 今後、市としての見直し案を公表する際には、パブリックコメントを実施するほか、説明会などを開催することも予定いたしております。

 

2.平成29年3月に発行された「小平市第3次行財政再構築プラン」では、「自主財源の確保」として「受益者負担の適正化においては、引き続き、使用料を施設維持管理費に充てることができるよう実現に向けた検討を行います」と記載され、「公共施設の受益者負担の原則を明確にすることにより、維持管理費の適正な負担を目指す」ことが実施目的の一つに掲げられています。これらから、集会施設などの利用者負担の見直しは、財政の観点から進められているものと思われますが、市民意見交換会では、利用する方としない方の負担の公平性を強調し、財政面からの必要性の説明がほとんどなかったのは何故でしょうか。

 

市長(小林正則)

 第2点目の、財政面からの必要性の説明でございますが、公共施設の使用料は施設の特定の部屋を特定の団体が一定の期間占有利用する場合に負担をしていただくもので、利用する方と利用しない方との負担の公平性の観点から設定しております。集会施設等では、この使用料がほぼすべて免除となっており、多くの市民のみなさんの意見や小平市受益者負担の適正化検討委員会からの報告書などをふまえ、公費負担のあり方について課題があると考えておりますことから、負担の公平性について説明をいたしました。

 なお、市民意見交換会では、施設を維持管理するためのコスト、費用を示しながら、財政面での課題について説明をしております。

 

3.憲法26条は、すべて国民は、ひとしく教育を受ける権利を有するとし、社会教育法では、地方公共団体は、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならないと規定しています。津田公民館の定期利用団体が集まる津田公民館友の会が行った集会施設等の利用者負担の見直しに関するアンケートで、回答した59サークルのうち約4分の1にあたる15サークルが、利用者負担が発生すると運営が困難になると回答しました。これらの団体を見捨てて有料化を進めてもよいのか、市および教育委員会の見解を伺います。

 

市長(小林正則)

 第3点目の、利用者負担の見直しによりサークル運営が困難になることへの見解でございますが、集会施設等の利用者負担の見直しは、施設を利用する方と利用しない方との負担の公平性の観点から行うもので、多くの市民のみなさんの意見や小平市受益者負担の適正化検討委員会からの報告書などをふまえ、見直しを行う必要があると考えております。しかし、これまでどおりの市民活動が継続できるよう、使用料の減免方法や激変緩和措置のほか、利用する方の利便性についても今後検討してまいります。

 第3点目の教育委員会の見解、および第4点目につきましては、教育委員会から答弁申し上げます。

 

古川教育長

 第3点目の利用者負担の見直しによりサークル運営が困難になることへの教育委員会の見解でございますが、利用者負担の見直しに関するアンケートにおいて、高齢者が中心となる利用団体が多い中で、比較的構成人数が少ない団体から、利用者負担が発生すると活動の継続が困難になるとのご意見がございました。お寄せいただいたご意見もふまえながら、これまでの活動が継続できるよう、使用料の減額方法や激変緩和措置のほか、利用する方の利便性についても検討してまいります。

 

水口かずえ

 津田公民館のアンケートで、利用しているサークルの4分の1ほどが有料化になると運営が困難になると回答したのは大きな問題だと思います。小平市の地域包括ケア推進計画でも、介護予防のため高齢者の地域活動への参加を支援し、高齢者が交流するサロンや地域の通いの場を増やすという目標を掲げています。この集会施設利用者負担の見直しは高齢者福祉の観点からどう評価できるものになるのでしょうか。

 

柳瀬健康福祉部長

 介護予防等高齢者福祉の観点から、それを行う場というのは、公民館だけに限らず集会施設、それからさまざまな場があります。市といたしましては、そういったさまざまな場において、それぞれ介護予防のためのさまざまな取り組みを進めていくと、そういうスタンスでやっております。

 

水口かずえ

 今月8日に行われた小平市公民館創立70周年シンポジウムで、教育長は、利用団体の減少が課題の一つとおっしゃっていました。同シンポジウムで基調講演をされた東京学芸大学倉持伸江准教授は、公民館は人々が気軽に集い、学び、地域のさまざまな人や団体がつながり、課題の解決へ向かっていく大切な場だが、利用してみないとその良さがわからない。利用していない人にその良さを伝えるのが難しいとおっしゃっていました。公民館のような施設は、より多くの人に利用してもらうべきものだと思いますけれども、利用者負担を強いることは、利用者を減らすことになるのではないでしょうか。

 

川上地域学習担当部長

 まず、公民館の利用を増やすということは、日頃の講座づくりから市民に関わっていただいて、できるだけ多くの方に参加いただけるように努力をしてございます。利用負担の関係につきましては、施設を一定の状態で維持をしていく上で、負担をいただかないとなかなかそこにもまわってこないという実情があります。公民館としては、できるだけ長く施設を使っていただきたいという思いも持っておりますので、そのような形で活用していきたいと思っておりまして、有料化に関しては、公民館としても取り組むべき課題というふうに認識をしております。

 

水口かずえ

 施設の維持管理は必要だと思いますけれども、それを利用者に負担させるしか(方法が)ないわけではないと思います。ほかに一般財源から維持管理費用ができると思うので、それを理由に利用者負担の必要性を言うのは違うかなと思います。 東村山では、2006年に公民館条例を改正して有料化した後、利用率が50.3%から38.5%へと大幅に減ったため、あわてて2009年に平均30%の政策的減額措置を導入する再度の条例改正をしたそうです。その東村山市の今の施設使用料と今小平市が市民意見交換会で示した50%減額の使用料を比べると、あまり変わらないというか、むしろ小平のほうが高いように見えます。先行して有料化した他市での使用料ですとか、有料化してどうなったかという状況などについて、小平市として情報を集めて比較評価しているのでしょうか。

 

川上地域学習担当部長

 現在、公民館は多摩26市中18市に設置されておりまして、7団体が有料で11団体が無料もしくは全額免除というふうになってございます。現在その7団体の利用の状況をつぶさには把握してございませんので、そこの影響があったのかどうかというのは、今後、機会をとらえまして調べていければと考えております。

 

水口かずえ

 小平市は利用者負担の見直しをしても市民活動が停滞することのないよう継続できるよう配慮したいというご答弁だったと思います。そのためには、実際に他市でどうだったのか、どれくらいの金額でどういう影響があるのか、きちんと調べるべきだと思います。

 今月18日から23日までの6日間、中央公民館ギャラリーで、小平市写真連盟の写真展があり、さまざまな美しい写真が展示されていました。もし、この6日間のギャラリーの使用を市が今提示している利用料をとられたら、6日間で2万100円かかることになります。50年の歴史を持ち、高齢化している小平市写真連盟のメンバーは、今まで続けてきたこの写真展が有料化になったら継続できるだろうかと不安を口にされていました。東村山市では、有料化実施後、ギャラリーが使用されなくて、真っ暗の状態がしばらく続いたそうです。

 一方、若いお母さんたちのほうは、たとえば午後に保育室を借りて学習室を中央公民館で借りるとしたら、2,100円とられることになり、活動が続けられなくなると危機感を抱いています。

 市は、市民活動が継続できるようにとおっしゃっていますけれども、実際に利用している人の声をまだ十分に聞けていないと思います。本当に施設で活動を続けることができるのか、市は今後方針を示し、説明会をすると言っていますけれども、もう決まったこととして説明会をするのではなく、有料化の是非から、根本から問い直し、利用者の意見をきちんと聞いて、その方針を利用者の意見に合わせて多少変更、修正するなどの柔軟な市政でこれからも時間をかけてていねいにやる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 

津嶋企画政策部長

 利用されている方の中にはですね、社会教育施設ですから無料でしょうと言う方もいます。それは誤った解釈だと思っております。同じ社会教育施設である図書館につきましては、図書館法において、入館料であるとかそういったものは取ってはならないというふうに、これは明確に規定がされております。ただ、公民館については、特にそういう規定がございません。ということは、そもそも無料という、これは法令上無料の施設というふうな想定ではないというふうに考えております。

 それにもとづいて、小平市の公民館も条例上ちゃんと使用料という設定がございます。ですから、公民館については、もともと有料の施設でございますが、運用上ですね、まあ免除ということを拡大して、広く提供してきたという状況がございます。これについて、いろいろアンケート等をとっていきますと、やっぱり利用されている方に一定の負担はしていただくほうが適切であるというようなご意見がかなり多いというところで、今回見直しをはかってまいります。で、見直しをはかるにあたりましては、まず、みなさん、使用料を取っていませんので、今、実際いくらかというのもご存じない方もいます。ですから、その辺はですね、今後の説明の中で、市が考える方針の中で、大体いくらぐらいになります、と。激変緩和措置として段階的に上げるんであれば、そういったその部分も意見をもらいながら、じゃ、どのぐらいからだったら負担がしやすいかというところもふまえて、示してまいりたいというふうに考えております。

 

水口かずえ

 先程、社会教育施設は無料だというのは違うと思うとおっしゃったんですけれども、無料であるべきだという意見も市民の中にはあります。その辺、市が決めつけてこうだからと示すのではなく、ちゃんと市民の意見を一から聞いて、ていねいに進めていってほしいということを要望して、私の質問を終わります。

 

4.上記アンケートの結果についての中央公民館長あての報告書で、津田公民館定期利用団体一同、津田公民館友の会会長は、津田公民館定期利用団体として、利用者負担の見直しに対し調査した結果、基本要望は現状維持を望む、と記載しました。今年1月28日に開催された公民館運営審議会でも、中央公民館長あての提言に、集会施設等の利用者負担の見直しについて、市民の学習権を保障する教育施設である公民館の重要性に立脚し、現状維持を切望する、ことが審議されていました。集会施設等の利用者負担の見直しについては、利用者等との話し合いがもっと必要ではないでしょうか。

 

古川教育長

 第4点目の利用者等との話し合いでございますが、これまで小平市公民館運営審議会や小平市公民館利用者懇談会等連絡協議会などの会議の場で、利用者負担の見直しにかかる情報を適宜報告しております。今後も、個別に相談等に対応するなど、公民館を利用する方の学習活動が継続できるよう支援してまいります。